ハリウッド脚本術の開拓者「シド・フィールド」とは?

映画の脚本を学びたいのなら、何よりも先に、ハリウッド脚本術を学ぶ必要があります。なぜなら、ハリウッド映画こそ世界の映画産業の中心であるからです。

映画産業の中心だからといって、ハリウッド脚本術を学ぶ必要があるのでしょうか。映画は世界中で作られているのです。べつにハリウッド映画にこだわる必要はないではという声が聞こえてきそうです。

ハリウッド映画は日本映画と違って英語で作られているので、世界中がマーケットになります。世界中の人たちを相手に映画を作っているので、文化や習慣などの違いによって理解できないようなシーンは作ることができないのです。

つまり、ハリウッド映画のストーリーは、文化や習慣などに関係なく観客が感動できるものではくてはならないのです。ですから、ハリウッド映画には物語の本質が描かれているのです。

それこそがまさに、ハリウッド映画を学ぶ意味なのです。そして、ハリウッド映画を学ぶのであれば、まず最初に師事すべき先生は、シド・フィールドです。

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シド・フィールドとは何者でしょうか?

シド・フィールドは1935年にアメリカに生まれた脚本家ですが、脚本家というよりも脚本の講師といったほうがふさわしいでしょう。ジャン・ノルワールやサム・ペキンパーらに師事したようです。

脚本術を体系化し、世界中で脚本術のワークショップを開催していました。すでにお亡くなりになっているようですが、彼の門下生の中には、ジャームズ・キャメロン(『ターミネーター』『タイタニック』、テッド・タリー(『羊たちの沈黙』)など有名な映画人が名を連ねて、ハリウッド映画業界に大きな足跡を残しています。

シド・フィールドのテキストは、日本では3冊出版されています。

その中から、ワークブック形式になっている「素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック」(フィルムアート社出版)を参考にしながら、一緒に勉強したいと思います。

シド・フィールドのテキストを選んだ理由は、全米400校以上でテキストとして用いられているために、ハリウッド映画人の基本書となっているからです。

それ以上に、このテキストが、脚本を執筆する上での過程を明確にし、どの段階で何を考え何を書かなければならないのかを我々に示してくれるからです。

脚本を書く過程でいちばん難しいのは、あるアイデアから脚本の形にするまでのあいだです。

シド・フィールドの功績はいいなと思えるアイデアがあって、それを物語の形にしていく過程を明確にし、創作過程をシステマティックに捉えることで、機械的に作業をして良い所と良くない所を区分けし、脚本を創作しやすくしたことです。

シド・フィールドのテキストに則って書き進めば、誰でも脚本というものを書くことができるようになります。もちろん出来上がった脚本が面白いかどうかは別ですが。

では、シド・フィールドのテキストに沿って、脚本術を勉強していきましょう。それが何よりも近道になるでしょうから。

 

脚本にはテーマが必要

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いちばん最初の取っ掛かりとして、どのような物語を語りたいのかをはっきりさせる必要があります。

愛する人と結婚する物語なのか、犯人を逮捕する物語なのか、友人を助けに行く物語なのか、物語を大まかに決める必要があります。

 

脚本とは、何かについての、誰かについてのストーリーであり、その中に必ずテーマが存在する。(23P)

 

テーマは、アクションと登場人物を結んで、一貫性のあるストーリーラインを創るための指針となる。(23P)

 

自分のアイデアをもとに、ストーリーにかかわるアクション(何が起きるか)と主人公(誰に起こるのか)を考えなさい。(30P)

 

シド・フィールドは、テーマというものを「主人公が何をするのか、その具体的な行動(内容)、そして主人公の行動の中に一貫している何か」という意味で捉えているようです。

テーマと聞けば崇高な思想をイメージしがちですが、テーマというものを難しく捉えすぎると脚本が書きにくくなります。テーマは難しいものではないです。もっと身近なものです。

何度も言うようですが、テーマとは、主人公が何を考え、何をするのか、その主人公の行動の中にある一貫性、ただそれだけなのです。

主人公の行動はできるだけ人間にとっての本質的な行動のほうがいいでしょう。

たとえば、「愛する、闘う、助ける、食べる、苦しむ、悲しむ、楽しむ」などなど、人間が自分の人生を生きるにあたって、より重要な、なくてはならない行動のほうが観客の関心を引きつけます。

お金を出しても観たくなるような主人公の行動なのかどうかを前提にすると考えやすいです。映画館で映画を見ると1,800円くらいです。約2時間で1,800円出しても観たくなるような主人公の行動なのかどうか、これが大事なのです。

いずれにしろ、あまり難しく考えずに、誰が何をする物語なのか、その一貫しているものは何か、を大まかに考えてみることから始めましょう。

 

シド・フィールドがお勧めしている映画

以下のリストは、シド・フィールドがテキストの中で勧めている作品です。ますは、この中から1本選んで勉強してみてはいかがでしょうか?

■刑事ジョン・ブック 目撃者

■結婚しない女

■コールド マウンテン

■アニー・ホール

■チャイナタウン

■テルマ&ルイーズ

■ショーシャンクの空に

■ボーン・スプレマシー

■アメリカン・ビューティー

■パルプ・フィクション

■ミラグロの瞳

■イングリッシュ・ペイシェント

■サイドウェイ

■めぐりあう時間たち

■普通の人々

■コラテラル

■ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間

■太陽はひとりぼっち

■シンデレラマン

■羊たちの沈黙

■ミリオンダラー・ベイビー

■ミスティック・リバー

 

 

【引用は以下の参考文献から行いました】

「素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック シド・フィールドの脚本術2」(2012)フィルムアート社 シド・フィールド著/菊池淳子訳

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ABOUTこの記事をかいた人

沢村浩平(さわむらこうへい)

大阪府出身。ブログ「面白い物語に魅せられて」管理人

高校中退後に上京。様々なアルバイトを経て、保険調査会社に勤務する。保険の調査をしながら、テレビドラマの脚本や漫画原作の制作に携わる。

とは言っても、ある脚本家や漫画原作者の下書きばかりをしていた。要するにアシスタントである。

最初はテレビドラマの脚本を下書きをしていた。ひたすらプロットを作る日々が続く。ある日、先生に「これ、いいねえ」と言われ、はじめて脚本を書く。先生がそれに手を加えてみると、まるで別の作品になってしまったので、自分の技術のなさを痛感する。

保険調査会社に勤務しながら脚本の下書きを書いていたが、保険調査をしていた関係で、ある漫画原作者から協力を依頼される。

その企画はボツになったが、その後、その漫画原作者のもとで原作の下書きに携わる。潜入取材多数。タイトルは申し上げられないがテレビドラマ化されたものもある。

その後、脚本家の先生はご高齢のため亡くなり、アシスタントをしていた漫画原作者は廃業したため、独立することなく業界から足を洗う。

今現在は、保険調査の仕事をしながら、たまに演劇の自主公演の協力をしたり、専門学校生の自主制作映画の手伝いをしている。