ハリウッド脚本術の後継者「ブレイク・スナイダー」のシナリオの書き方とは?

シド・フィールドがハリウッド脚本術を体系づけたとしたなら、ブレイク・スナイダーはそれを応用する方法を開発したと言えます。

ブレイク・スナイダーの著作「SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術」の著者紹介欄によると、彼はハリウッドで最も成功した競売向け脚本家の1人だそうです。

彼が大手映画会社に売った脚本のうち2本は200万ドルの値がついたそうです。200万ドルの値がつく脚本を書けるってことは、凄いことです。

アメリカの場合、映画業界に進出する手っ取り場合方法は、脚本を書くことです。シルベスター・スタローンがスターになるきっかけが、彼が自ら書いた「ロッキー」の脚本だったことは有名です。

初主演映画が「The Party at Kitty and Stud’s」というポルノ映画だったシルベスター・スタローンは、ポルノ映画の出演やボディーガードなどでようやく生活ができているような状況でした。

そんな彼が転機を迎えたのが、彼が書いた「ロッキー」の脚本でした。映画会社に脚本を売り渡す条件が、自分自身を主役にすることでした。映画会社はそんな彼の要求をのみ映画を製作します。それが大ヒットとなり、シルベスター・スタローンはスターの仲間入りをしたのでした。

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長々とシルベスター・スタローンの話をしてきましたが、それほど脚本には人生を変えるだけの力があるということを知ってもらいたかったからです。

アメリカほど極端ではないですが、日本でも無名であっても良い脚本が書ければ、いずれ注目されることは間違いないでしょう。

今回、取り上げます脚本家のブレイク・スナイダーも同じように脚本で人生を変えることのできた一人なのです。

ハリウッド脚本術の確立者である「シド・フィールド」の脚本術だけ学ぶのではなく、他の人の脚本術を学ぶことによって、脚本に対する理解が深まるだろうし、シド・フィールドの脚本術に対する理解も深まるでしょう。

ブレイク・スナイダーは、シド・フィールドの脚本術を自分なりにアレンジして、使い勝手のいいような脚本術にしているのです。

どちらかというと、シド・フィールドの脚本術よりブレイク・スナイダーの脚本術のほうが汎用性が高く、脚本を創作するときに、うまく活用できそうな印象があります。

ということで、これからしばらく、ブレイク・スナイダーの著作にしたがって、脚本術を勉強してみることにします。

 

ログラインとは?

ブレイク・スナイダーは、脚本作りのいちばん最初に、これから作るストーリーがどのような内容なのかを1行で表現しなさいと言っています。

それをログラインと言います。たとえば、以下のようなものです。

 

新婚ホヤホヤのカップルが、離婚した親(計四人)のもとでクリスマスを過ごすことに…。「フォークリスマス」

 

入社したての新入社員が週末に会社の研修に行くが、なぜか命を狙われる。「The Retreat」

 

超安全志向の教師が理想の美女と結婚することになるが、その前に将来の義理の兄(警官)と最悪の相乗りをする羽目になる!!「Ride Along」

 

「どんな映画なの?」と質問されて、簡潔に答えられることが重要だ、と彼は言います。

 

ログラインを良くする4つの要素とは?

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ログラインを良くするためには何が必要でしょうか?

ブレイク・スナイダーは、ログラインには4つの要素が必要だと言っています。

 

皮肉はあるか?

皮肉とは、「つかみ」のようなものです。観客の心をつかむような要素といったらいいでしょうか。

たとえば、上記の「フォークリスマス」であれば、新婚ホヤホヤなのに、離婚した親(計四人)と一緒にクリスマスを過ごすことになるストーリーですが、皮肉以外のなにものでもないですよね。

女嫌いの男性が女性とドライブする羽目になる、とか。

皮肉というよりも、相反する要素を入れてやることが大切なようです。

 

イメージの広がり

2番目の要素として、ログラインから映画の全体像が見えるかどうかが重要です。

たとえば、「フォークリスマス」の例で説明します。

このログラインから、離婚した親たちがケンカし始めて、それを新婚ホヤホヤのカップルがなだめているシーンが思い浮かぶと思うのです。1行のログラインだけで、いろいろなシーンが想像でき、イメージが広がるようなら、良いログラインと言っていいのかもしれません。

要するに、ログラインを肉付けしたものが映画なのだと言えます。逆にいうと、映画を単純な1行のストーリーにしたものが、ログラインだということになりますよね。

 

観客と製作費

客層や製作費が明確かどうかが大切だということですが、製作費は無視して、ターゲットとなる客層を考えることは映画製作にとって、非常に重要です。

テレビドラマや漫画もそうです。ターゲットとなる客層(年齢層や性別)を想定して脚本は書かれます。誰が観るのか、誰が読むのかを意識しておかないと、ポイントのずれた脚本になってしまいます。

 

パンチの効いたタイトル

ブレイク・スナイダーの主張するログラインは、タイトル付きなのです。タイトルとログラインの2つで映画をイメージするわけです。

良いタイトルには、ストーリーが透けて見え、ストーリーを象徴するような言葉が含まれている必要があるようです。

そして、どんな映画なのかをきちんと表しているタイトルでなければなりません。

良いタイトルが思いつけば、いろいろなイメージが沸いてくることがよくあります。タイトルを何度も添削して、イメージを喚起するようなものに作りかえましょう。

 

 

参考文献

「SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術」(2010年)フィルムアート社 ブレイク・スナイダー著/菊池淳子訳

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ABOUTこの記事をかいた人

沢村浩平(さわむらこうへい)

大阪府出身。ブログ「面白い物語に魅せられて」管理人

高校中退後に上京。様々なアルバイトを経て、保険調査会社に勤務する。保険の調査をしながら、テレビドラマの脚本や漫画原作の制作に携わる。

とは言っても、ある脚本家や漫画原作者の下書きばかりをしていた。要するにアシスタントである。

最初はテレビドラマの脚本を下書きをしていた。ひたすらプロットを作る日々が続く。ある日、先生に「これ、いいねえ」と言われ、はじめて脚本を書く。先生がそれに手を加えてみると、まるで別の作品になってしまったので、自分の技術のなさを痛感する。

保険調査会社に勤務しながら脚本の下書きを書いていたが、保険調査をしていた関係で、ある漫画原作者から協力を依頼される。

その企画はボツになったが、その後、その漫画原作者のもとで原作の下書きに携わる。潜入取材多数。タイトルは申し上げられないがテレビドラマ化されたものもある。

その後、脚本家の先生はご高齢のため亡くなり、アシスタントをしていた漫画原作者は廃業したため、独立することなく業界から足を洗う。

今現在は、保険調査の仕事をしながら、たまに演劇の自主公演の協力をしたり、専門学校生の自主制作映画の手伝いをしている。