ハリウッド式脚本術におけるシナリオ作成とは?

以前の記事で、脚本を学ぶならハリウッド脚本術を学ぶべきだとお伝えしましたが、それはハリウッド映画が全世界を相手に映画を作っているからです。

各国の文化や習慣によって、理解できないシーンなどがあれば、それこそ興業的にうまくいきません。だからこそ、ハリウッド映画は人間なら誰でも関心のあることをテーマに映画を作っているのです。

シド・フィールドによると、「テーマとは、どのような主人公がどのような行動をとるのか、そしてその行動の中にある一貫したもの」でした。

ハリウッド映画では、主人公の行動の取り方も人間なら誰でも理解できるようなもので構成されています。愛のため、友情のため、家族のため、正義のため、、、これらの行動は全世界の人々が理解できるものですし、根源的なものなのです。

これは何もテーマだけではありません。脚本の構成も世界中の人たちが理解しやすいように構成されています。

今回の記事では、シド・フィールドが語る脚本の構成の仕方について取り上げます。

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脚本の構成とは何でしょうか?

シド・フィールドはテキストの中で以下のように脚本の構成について語っています。

脚本の全体にあたるのがストーリーであり、ストーリーという全体は、部分―登場人物、プロット、アクション、会話、シーン、シークエンス、事件、出来事―から成り立っている。したがって、脚本家の役目は、各部分をつなげてストーリーという全体を作り、それを発端・中盤・結末のある脚本に変えていくことなのだ。(34P)

 

また、別のところでは、以下のようにも語っています。

ドラマの構成とは、関連のある事件・出来事・エピソードを解決に向かうよう並べるということだ。(37P)

構成とは、ドラマとして最大の効果を得られるように脚本の形を整える道具であり、アクション、登場人物、プロット、エピソード、出来事をしかるべき場所に収めるものである。(43P)

 

つまり、構成とは、ストーリーを形作る様々な要素をひとつのあるまとまったものにするときの、外枠のようなものなのでしょう。

一見バラバラに見えるものをひとつの枠に入れるために、観客にはストーリーがまとまりのあるものに見え、ストーリーが語る物語をうまく伝えることができるのだと思います。

まとまりのあるもの、つまり主人公の行動の中にある一貫した何かを、観客に一貫していると感じさせるものが構成なのです。

構成があるからこそ、一見主人公が適当に行動しているように見えるけれど、実は一貫しているのだと感じられるのです。

構成をしっかり考えないと、主人公の行動がバラバラなものに見え、支離滅裂の人物のように思われてしまう可能性があるのです。

テーマとは、「どのような主人公がどのような行動をとるのか、その行動の中にある一貫した何か」でありました。そして構成とは、「行動の中にあるその一貫した何かを一貫したように観客に感じさせるためのもの」であります。

 

パラダイムとは?

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パラダイムとは、構成の見取り図のことです。シド・フィールドは言っています。

パラダイムとは、「アイデアを具体的に見るための枠組み/モデル」であり、ストーリーを導き、脚本を書くプロセスの指針となるロードマップなのです。(48P)

 

パラダイムとは、時間の流れとともに組み立てられた構成の見取り図なのです。

時間の流れとは、物語内に流れる時間のことではなく、観客が映画館内で感じている時間のこと、つまり上映時間のことです。

小説なら、何度も前のページを読むことができるのですが、映画はできません。

映画は時間の芸術と言われるように、映画館では10分前のあのシーンが見たいと言ったところでどうにもならないのです。今、観ているシーンは一度きりのものです。もちろん、DVDなら可能ですが。

映画がはじまって、何分頃には主人公は何をする、何分頃には適役は何をするという風に映画の中の出来事を決めていくわけです。

ただ単に決めるわけではなく、いかに効果的に配分するかが大切になってきます。物語がはじまって、すぐにクライマックスがやってくれば、あとの時間は観客は退屈な時間を過ごすことになってしまいます。

ですので、観客が上映時間中退屈しないように考える必要があるのです。

シド・フィールドは、どのようにパラダイムを考えればいちばん効果的なのかをたくさんの映画を観て分析し、たくさんの駄目な脚本を読むことで理論化したのです。

つまり、脚本を書くときにシド・フィールドが理論化したパラダイムに則って書くことによって、より優れた脚本が書けるわけです。

 

シド・フィールドが理論化したパラダイムとは?

さっそくシド・フィールドが理論化したパラダイムを見てみましょう。以下は、シド・フォールドが考えたパラダイムです。

 

■第1幕 状況設定

主人公の紹介、ドラマの前提や状況、人間関係を描く

 

■プロットポイントⅠ

状況設定から葛藤へ展開するための事件やエピソードを描く

 

■第2幕 葛藤

主人公が目的達成のために克服しなければならない障害に直面する

 

■プロットポイントⅡ

葛藤から解決へ展開するための事件やエピソードを描く

 

■第3幕 解決

主人公はどうなるのか、ストーリーはどうなるのかを描く

 

 

「プロットポイント」という初めて出てくる言葉がありますので、シド・フィールドに説明してもらいましょう。

 

プロットポイントとは、“ストーリーを展開し、新たな方向へ向けるきっかけとなる事件やエピソード”のことです。(54P)

 

要するに、第1幕から第2幕へ、第2幕から第3幕へ、橋渡しするための「きっかけ」なのです。

このパラダイムを常に意識しながら、脚本を考えるようにしましょう。

日本の脚本家の中でも年配の先生方は、脚本を書くときに「プロットポイントが・・・」などとは言いません。

最近の若い脚本家の方は、ハリウッド式脚本術がシド・フィールドのテキストの翻訳などで普及しているため、「プロットポイント」を意識している方が多いようです。

ただし、「プロットポイント」という用語を使用しているかは人それぞれでしょう。

 

 

【引用は以下の参考文献から行いました】

「 素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック シド・フィールドの脚本術2」(2012)フィルムアート社 シド・フィールド著/菊池淳子訳

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ABOUTこの記事をかいた人

沢村浩平(さわむらこうへい)

大阪府出身。ブログ「面白い物語に魅せられて」管理人

高校中退後に上京。様々なアルバイトを経て、保険調査会社に勤務する。保険の調査をしながら、テレビドラマの脚本や漫画原作の制作に携わる。

とは言っても、ある脚本家や漫画原作者の下書きばかりをしていた。要するにアシスタントである。

最初はテレビドラマの脚本を下書きをしていた。ひたすらプロットを作る日々が続く。ある日、先生に「これ、いいねえ」と言われ、はじめて脚本を書く。先生がそれに手を加えてみると、まるで別の作品になってしまったので、自分の技術のなさを痛感する。

保険調査会社に勤務しながら脚本の下書きを書いていたが、保険調査をしていた関係で、ある漫画原作者から協力を依頼される。

その企画はボツになったが、その後、その漫画原作者のもとで原作の下書きに携わる。潜入取材多数。タイトルは申し上げられないがテレビドラマ化されたものもある。

その後、脚本家の先生はご高齢のため亡くなり、アシスタントをしていた漫画原作者は廃業したため、独立することなく業界から足を洗う。

今現在は、保険調査の仕事をしながら、たまに演劇の自主公演の協力をしたり、専門学校生の自主制作映画の手伝いをしている。