クリストファー・ボグラーが語る物語の法則はハリウッド脚本術を飛躍させる

脚本や漫画原作を書きたいと思っているかたや小説を書きたいと思っているかたまで、とにかく物語性のあるものを書きたいと考えているかた、朗報です。

もし、あるひとつの物語パターンを学ぶだけで、どのような物語も作れるとしたら、そのような夢の物語パターンを学びたいとは思いませんか?

その物語パターンを学ぶだけで、サクサクと物語を作ることができるのです。その物語パターンを下敷きにすると物語が次々に生まれるので、スランプというものがないかもしれません。

小説家の村上春樹さんも物語の法則を下敷きにして小説を書いているので、彼は何十年にもわたって小説を書き続けることができ、今現在もバリバリの現役で、超長編小説なども発表している、という噂もあるほどです。

この噂はどこまで真実なのかは分かりませんが、個人的には彼の才能と努力によるところが大きいとは思います。

村上さんはスランプなどないというような発言をインタビューか何かで発言されていましたが、純粋にすごいなと感心した記憶があります。

いずれにしろ、まったくの「無」から何かを生み出すことはできません。このような物語のパターンがあるなら、どんどん参考にすべきでしょう。その結果、脚本なり漫画原作なり小説なり書けるなら、それにこしたことはないですから。

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黄金の物語パターンとは?

「物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術」(2013年 アスキー・メディアワークス社)の著者こそ、黄金の物語パターンを開発した人物です。

その名は、クリストファー・ボグラー。

クリストファー・ボグラーの著書「物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術」(2013年 アスキー・メディアワークス社)による説明に耳を傾けましょう。

クリストファー・ボグラーは、ジョーゼフ・キャンベルという学者のヒーローズジャーニー理論とウラジーミル・プロップという学者のおとぎ話理論をミックスさせて、独自に発展させた手法を映画に適用したストーリー開発コンサルタントである、ということです。

キャンベルのヒーローズ・ジャニー理論は、簡単に言うと、世界中のどのような物語も分析すると、ある物語の型にたどりつき、すべての神話はこの「理想の型」を脚色しただけだというものです。少し乱暴すぎる説明だったかもしれませんが、「物語なんて、みんな一緒だよ」ということを主張したのです。

一方、ロシアの学者であるプロップは、ロシアの魔法民話を分析すると、31の要素から規則的に構成されていることを主張した学者です。

物語には形があり、その形を習得することで手っ取り早く物語が作れ、作れるだけでなく、多くの観客を魅了する物語を作ることができるのです。

「物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術」(2013年 アスキーメディアワークス社)の解説を書いている大塚氏によると、村上春樹氏もこれらの理論を利用して、小説を書いている節があるということです。

そんな夢のような「物語の型」があれば、誰だって習得したいですよね。

さっそく物語の法則を学んでいきたいと思いますが、クリストファー・ボグラーは何よりテーマを重要視します。

 

物語の法則は何よりもテーマが重要

脚本術のテキストをめくると、最初に書かれている項目は、テーマです。

テーマはそれほど大事なもので、一番最初に習得すべき項目なのです。さっそくクリストファー・ボグラーの言葉に耳を傾けてみましょう。

 

「テーマ」とは、物語全体を統一する要素となっている、何らかの人間の衝動や性質を言い表すひとつの言葉である。

 

「前提」は、それをさらに発展させて短い一文とし、テーマとなっている人間の特質について創り手がどう考えているかを具体的に示すものとする。(30P)

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「テーマ」も「前提」も難しく考える必要はありません。しかし、「創り手がどう考えているかを具体的に示すもの」という視点は新しいですね。

クリストファー・ボグラーは「マクベス」を例に説明しています。

シェイクスピアの「マクベス」は、「将軍マクベスが妻と計画して主君を暗殺し王位につくが、貴族や王子らの復讐に倒れる」話です。

 

「マクベス」のテーマが野心なら、シェイクスピアの前提は、ある種の野心、つまり無情な野心であり、避けがたい破滅を招くものである。(30P)

 

クリストファー・ボグラーは「テーマ」を作品をひとことで言い表したもの、「前提」を脚本家が考える主人公の特質について一文で表現したもの、という風に捉えていました。

ボグラーの考えるテーマが興味深いのは、「テーマ」も「前提」もあくまでも人間の性質や特質を言い表したものであり、映画は人間の性質や特質を表現するものだという考えを窺い知ることができるからです。

主人公の特質を考えることが、脚本作りには非常に大切になってくるのです。

僕自身は、「テーマ」というものをひと言で作品を表した言葉、「前提」とはそのテーマの切り口といったものではないかと考えるようにしています。

「友情」というものが作品のテーマなら、「前提」とは、友情に対する作り手の考え方ですから、「友情とは壊れやすいものだ」という風になるでしょう。

「前提」があることによって、物語の方向性ができますよね。

「友情とは壊れやすいものという物語」と「友情とはどのような人間関係よりも優先されるべきものという物語」とでは、これから語られるストーリーは違います。

 

「テーマ」は作品をひと言で表現したもの

「前提」は作品の方向性(作り手の考え)を示したもの

 

このように考えると、スッキリするのかなと思います。

 

 

【引用は以下の参考文献から行いました】

「物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術」(2013年)アスキー・メディアワークス社 クリストファー・ボグラー/デイビッド・マッケナ著 府川由美恵訳

*デイビッド・マッケナは、クリストファー・ボグラーの友人であり同僚でもあるそうです。

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ABOUTこの記事をかいた人

沢村浩平(さわむらこうへい)

大阪府出身。ブログ「面白い物語に魅せられて」管理人

高校中退後に上京。様々なアルバイトを経て、保険調査会社に勤務する。保険の調査をしながら、テレビドラマの脚本や漫画原作の制作に携わる。

とは言っても、ある脚本家や漫画原作者の下書きばかりをしていた。要するにアシスタントである。

最初はテレビドラマの脚本を下書きをしていた。ひたすらプロットを作る日々が続く。ある日、先生に「これ、いいねえ」と言われ、はじめて脚本を書く。先生がそれに手を加えてみると、まるで別の作品になってしまったので、自分の技術のなさを痛感する。

保険調査会社に勤務しながら脚本の下書きを書いていたが、保険調査をしていた関係で、ある漫画原作者から協力を依頼される。

その企画はボツになったが、その後、その漫画原作者のもとで原作の下書きに携わる。潜入取材多数。タイトルは申し上げられないがテレビドラマ化されたものもある。

その後、脚本家の先生はご高齢のため亡くなり、アシスタントをしていた漫画原作者は廃業したため、独立することなく業界から足を洗う。

今現在は、保険調査の仕事をしながら、たまに演劇の自主公演の協力をしたり、専門学校生の自主制作映画の手伝いをしている。